更年期障害とは?

女性の卵巣機能は、40歳を過ぎた頃から低下し始めます。これに伴って、卵巣から分泌される女性ホルモンの一つ「エストロゲン」が急に減少すると、ホルモンの調整をつかさどる視床下部が混乱し、体内のホルモンバランスが乱れます。

その混乱は、自律神経にも影響を及ぼします。自律神経は、体温や発汗、呼吸や消化、脈拍、血圧などをコントロールし、一定に保つ働きをしています。自律神経の働きが乱れることで、ほてりのぼせ冷えなど、からだにさまざまな不調が現れます。

このような、ホルモンバランスの乱れによって起こる日々のつらい症状を「更年期障害」と呼んでいます。

更年期障害のメカニズム

  • 正常な状態

    脳は卵巣にエストロゲンを分泌するための指令を出します。卵巣はこの指令によってエストロゲンを分泌し、脳に分泌していることを知らせています(応答)。常に適量のホルモン分泌が起こるように、指令と応答で調節されています。

  • 更年期になると

    卵巣の機能低下でエストロゲンが分泌されなくなります。脳に応答が来ないため、脳は更にホルモンを分泌させるための指令を出します。脳からの指令ばかりが多くなり、指令と応答のバランスがとれない状態になってしまいます。

その結果、
自律神経の働きが乱れ調子が悪くなってしまいます。

個人差が大きい更年期症状

更年期は女性なら誰しも通る道ですが、ほとんど不調を感じずに過ごす人もいます。更年期症状は、性格やストレスなど精神的なものや、子育てから手が離れる、親の介護といった環境にも左右されやすいため、人によって重かったり軽かったり、自覚がなかったりもします。また、例えば「頭痛」と「手足の冷え」というように異なるいくつもの症状が重なって現れる、「頭痛」が治ったら次は「めまい」というように日によって違う症状が現れるという特徴があります。検査をしてもどこにも異常がないのにつらい症状が現れるものを「不定愁訴(ふていしゅうそ)」といい、更年期の症状はまさに「不定愁訴(ふていしゅうそ)」の代表といえます。